何が変革を成功させるのか

何が変革を
成功させるのか

なぜ「人」を意識するのか

改革を動かすのは、人である。

業務改革の対象はシステムや制度や業務プロセスです。しかしそれらを実際に動かすのは、すべて「人」です。どれだけ優れた仕組みを設計しても、それを使う人が変わらなければ、組織は変わりません。「何が変革を成功させるのか」でお伝えした通り、変革を成功させるためには「仕組み化」と「支援型マネジメント」の2つが鍵になります。しかしこの2つを実現するためには、取り組む人たちの知識・スキル・マインドセットが問われます。私たちは業務改革を一過性の取り組みにとどめず、変化への対応力を組織に根付かせるチャンスと捉えています。そのために「人」を意識して改革に取り組むことを重視しています。では、人が改革を動かせるようになるには何が必要か。私たちは3つの要素があると考えています。知識・スキル・マインドセット それぞれの要素を見ていきましょう。

正しい知識は、改革を前に進める上でも、振り返る上でも役に立ちます。同じ経験をしても、正しい知識を持っている人とそうでない人では受け取り方が違います。継続的に改革を続けていくには、知識を積み重ねていくことを意識して取り組むことが重要です。ただし「知っている」「わかっている」「できる」は別物です。知識はあくまで土台であり、そこから経験を積むことで初めてスキルになります。

改革推進者が持つべき知識とは何か

業務改革と一口に言っても、SCM・DX・働き方改革など様々なテーマがあります。業務領域も営業・生産・調達・人事・会計など幅広いものです。その中で、チームメンバーが自律的に行動するために最低限必要な知識とは何でしょうか。私たちは以下の3つだと考えています。

  • チームの目指す方向性は何か ── 戦略
  • メンバーそれぞれに求められている役割は何か── 組織
  • その役割を遂行するための仕事のやり方は何か ── 業務プロセス

メンバーがこの3つを理解していることが、自律的な行動の出発点になります。方向性も役割も仕事のやり方もわからないまま「自分で考えて動け」と言っても、人は動けません。なお戦略・組織・業務プロセスはそれぞれが相互に関連しています。どれか一つを変えれば、他の要素にも影響が出ます。重要なのはそれぞれをきっちり作ることより、3つのバランスが取れていることです。

改革に必要な主な知識領域

  • 業務知識 ── 業務プロセスの構造・役割・KPI・組織論
  • データ・システム知識 ── 情報システムやデータモデルの基礎。DXとは情報技術を適切に取り入れながら組織が生み出す価値を最大化していくことであり、その土台となる知識
  • 改革手法 ── プロジェクトマネジメント手法・BPRの方法論
  • 会計・経営管理 ── 財務会計の基礎・決算書の読み方・管理会計と経営管理モデルの考え方

知識は3つの要素の中で最も身につけやすいものです。AIを活用すれば、さらに効率よく得られるようになりました。しかし知識を持っていることと、改革を動かせることは別です。知識は土台。ここから次の要素が育ち始めます。

業務改革プロジェクトを円滑に進めるためには、多岐にわたるスキルが必要です。たとえばこういったスキルです。

  • ロジカルシンキング ── 現状を正確に分析し、問題を構造化して解決策を導く力
  • プロジェクトマネジメント ── 複数の関係者を巻き込み、計画通りに動かす力
  • 業務設計 ── 業務フローやデータモデルを使って、あるべき業務の姿を描く力
  • ヒアリング・ファシリテーション ── 現場の実態を引き出し、議論を生産的に前に進める力
  • 課題管理 ── 発生した課題を整理し、優先順位をつけて解決に導く力

これらは知識として学ぶことはできても、実際に「できる」ようになるには経験が必要です。知識を与えるだけでは足りません。それを活かす場を提供することが重要です。

では、スキルはどうやって育てるのか。

「選ぶ・任せる・フォローする」という3つのステップが重要です。これはまさに支援型マネジメントの実践であり、仕組み化と組み合わせることで初めてスキルが組織に根付いていきます。

選ぶ

任せる前に、十分な準備をすることです。その人の意欲や適性、任せる仕事の内容や難易度を吟味する。雑に任せるのではなく、任せる行為そのものを丁寧に設計することがスキル育成の出発点になります。

任せる

責任と裁量をセットで渡すことです。上司はつい「自分がやった方が早い」「正解を教えてあげたい」という気持ちになります。しかしそれでは部下のスキルは育ちません。上司の役割は答えを出すことではなく、問いを出すことです。結果だけを管理するのではなく、結果を生む構造を一緒に考える。部下の側も、正解を当てようとするのではなく、判断を引き受け、失敗を隠さないことが求められます。

フォローする

任せた後のサポートです。日本の職場では、うまくいかなかったときの指摘はあっても、うまくいったときに褒めることが少ない傾向があります。
人の強みを伸ばすには、褒めることが重要です。その背景には心理的安全性があります。失敗しても責められないという安心感があってこそ、人は挑戦し、経験から学び、スキルを高めていけます。

知識もスキルも、最終的にはマインドセットがなければ機能しません。業務改革は目的を達成するための手段です。「何のために変わるのか」という目的意識が曖昧なまま改革を進めても、現場は動く理由を持てません。

なぜ支援型マネジメントが必要なのか

改革を進める上では様々な選択を迫られます。たとえば「業務の効率化」という目的があるとき、目指す効率性とそれによって担保すべき品質レベルをどう判断するか——こうした局面は改革の現場で必ず出てきます。リーダーが都度判断を下すのは統制型マネジメントの発想です。しかし変化のスピードが速い現代では、すべての判断をリーダーに委ねる組織は動きが遅くなります。支援型マネジメントでは、メンバー自身がその場で判断できることが望ましい。
そのためにはリーダーが目的の背景にある課題認識や会社の目指す方向性をメンバーにしっかり伝え、メンバーが判断できる環境を作ることが重要になります。統制型から支援型へ。この転換こそが、変革を根付かせる鍵です。

目標設定と自律性

現代は価値観が多様化し、市場の変化も読みにくくなっています。改革を進める中で方向性の軌道修正が必要になることもあります。大事なのは、チームの目標を共有した上でメンバー自身が「どうやって達成するか」を考えられる環境を作ることです。上司が手段を指示するのではなく、メンバーの自律的な判断を支援する。結果を評価する際も、達成できなかった部分に目を向けるより、目指す成果にどれだけ近づけたかを重視する。挑戦を促し、失敗から学べる環境が、メンバーの自律性を育てます。
その土台となるのが心理的安全性です。

組織風土を作る責任

価値観の多様化によって働き方にも様々な選択肢が生まれました。会社と個人の関係作りという点で、社員の働きやすさを考えることもリーダーの重要な役割になっています。制度や仕組みを整えるだけでは、組織風土は変わりません。社員が主体的・創造的に働きやすい風土をリーダーが意図的に作ろうとしているかどうかが問われます。組織風土を作る責任を自覚していること。それ自体が、変革を成功させるリーダーのマインドセットです。

知識を身につけることで向上心が芽生え、スキルが磨かれていきます。
スキルがつくことで周囲を見る余裕や責任感が生まれ、マインドセットが定着します。
私たちはお客様に伴走しながら、一緒に業務改革を成功に導きます。

心技体と3要素、そして問いかけ

この3要素、どれが一番大事だと思いますか?

日本の武道には「心技体」という言葉があります。心(精神)・技(技術)・体(身体)の3つが揃って初めて強くなれるという考え方です。業務改革に必要な知識・スキル・マインドセットも、これによく似ています。知識を体、スキルを技、マインドセットを心と置き換えると「心技体」に通じるところがあります。では、この3要素のうち最も重要なものは何でしょうか。

答えは、あなたの立場によって変わります。

一般社員の方なら── 知識(体)

この3要素の中で知識は最も身につけやすいものです。知識がついてくることで向上心が芽生え、スキルが育ち始めます。まず知ることが、すべての出発点です。

中間管理職の方なら── スキル(技)

改革のリーダーとしてメンバーをリードする立場には、スキルが問われます。選んで、任せて、フォローする。知識があっても、人を動かせなければ変革は前に進みません。

経営層の方なら── マインドセット(心)

知識もスキルも積み上げてきた経営層に最も求められるのはマインドセットです。目的を示し、メンバーを鼓舞し、挑戦できる風土を作る。リーダーのマインドセットが、組織全体を動かす原動力になります。