私たちのアプローチ

私たちは業務改革のソリューションは、ある会社で成功したからといって他の会社でそのやり方が必ずしも成功するとは限らないと考えています。 それは業務改革は推進する側も、改革の対象になる側も「人」によって行われるものだからです。私たちは業務改革を一過性の取組にとどめず企業に変化に対する機運を根付かせるチャンスと捉えており、そのために「人」を意識してアプローチしています。 私たちは取組活動において以下の3つの軸を重視して進めます。

知識

改革を進める側の人、受ける側の人にしっかりと理解、納得してもらうために十分な知識(情報)を提供する。

スキル

改革推進に必要な様々なスキルを業務改革の活動を通して習熟する様に働きかける。

マインド
セット

メンバーの主体的、創造的な活躍の場作りをすることで企業変革に対する機運を醸成する。

知 識

正しい知識は活動において前に進む上でも、振り返る上でも役に立ちます。正しく知識を持っていると同じ経験をしても受け取り方が違ってきます。継続的に業務改革を続けていくためには、正しい知識を積み重ねていくことを意識して取り組むことが重要です。

業務改革と一口に言ってもそのテーマはSCM(サプライチェーンマネジメント)やDX(デジタルトランスフォーメーション)、働き方改革など様々なテーマがありますし、業務領域も営業、生産、調達、人事、会計などといった様に幅広いものです。そんな多岐に渡る業務改革を成功するためにまず大事な知識(情報)とは何でしょうか。

それをお話するにあたって私たちが業務改革を行う上で重視している5つの要素を使って説明します。

これは長坂敏史氏が提唱しているホーリズム・マネジメントの概念における「組織コンフィギュレーション」の考え方に基づいています。

もちろん業界・業務知識など様々な知識が必要だと思いますが、本人が自分の仕事を行う上で、

 ①チームの目指す方向性は何か?

 ②メンバーそれぞれに求められている役割は何か?

 ③その役割を遂行するための仕事のやり方は何か?

はまず最低限必要ではないでしょうか。

これは業務改革の5つの要素の上の3つを指しています。

①チームの目指す方向性

戦略

②メンバーそれぞれの役割

組織

③仕事のやり方(制度・ルール)

業務プロセス

「戦略」とは戦いに勝つための大局的、総合的な方法を示したもので、自社の強み・弱み等を踏まえた上で、資源配分を考え、戦いに勝つために競合や顧客に対してどの様に働きかけるのかを示したものです。

3C分析

SWOT分析

戦略と組織と業務プロセスの関係は機能別組織と事業部制組織の比較例が分かりやすいと思います。各機能の事業部間での分散を割けて機能の強化を図ろうとする戦略だと機能別組織になり、事業部ごとの収益性を強化しようという戦略なら事業部別組織になります。戦略・組織・業務プロセスはこの様な関係になります。

機能別組織(機能重視)

機能を軸に各事業部の配分を考えて各機能を業務プロセスで繋いで、機能別利益、経営資源を最適化する。

事業部制組織(プロセス重視)

事業を軸に各機能を業務プロセスで繋いで事業部利益を最適化する。事業ごとの専門性は高まるが経営資源に重複が生じる。

戦略を実現する上で組織と業務プロセスはそれぞれが相互に関連しあっています。ですからどれか一つの要素を変えた場合、その変更が他の要素に与える影響を考える必要があります。重要なのはそれぞれをきっちり作るというより、この3つのバランスが取れていることです。

例えば情報システムを構築する場合、情報システムにデータを入力する業務などが追加になるなど業務プロセスに変更が生じます。現場のユーザーにこれまでやっていた業務を変えてもらうためには、その情報システムを導入する目的は何のためなのか、何を狙いとしてどんなアクションをとるべきなのかといった戦略的な意図をしっかりと明確に伝える必要があります。また情報システムが正しく機能するためには、品目や得意先といったマスタデータなどが整備されている必要がありますが、そのマスタをきちんと整備する役割などこれまでには無かった役割を定義して、しっかりと役割をこなしてもらう必要があります。

こうやって聞くと当たり前の様に思われると思いますが、私の経験上その当たり前が出来ていないプロジェクトが非常に多い様に思います。それは業務改革自体が目的を達成するための手段なのですが、いざ業務改革プロジェクトを進めるとなると、限られた納期の中でやるべきことのあまりの多さに手段が目的化して業務改革の手順をこなすことが目的になってしまい、思考や打ち手が硬直化してしまうためと考えられます。この様に戦略・組織・業務プロセスが連携しているものだということを意識しているだけで、考えるべきポイントが明確になり、業務改革の成功の確率は大きく変わってきます。

業務改革についてフリーランスコンサルタント時代に説明した動画がありますので、参考になれば幸いです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の取組について

戦略・組織・業務プロセスのこれからのあり方を考える上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対する理解は必須だと思います。DXはデジタル技術を利用することで顧客へ価値を提供する方法を根本的に変えていくことです。AIやロボット技術など日々技術は進化していますが、DXというのはそういったデジタルテクノロジーを使う事が目的ではなく、最新の技術を前提に業務を見直し業務改革を進めることが本質です。

DXについてフリーランスコンサルタント時代に説明した動画がありますので、参考になれば幸いです。

携帯電話もパソコンもインターネットもそうでしたが、世の中に普及するテクノロジーは普及してコモディティ化するまでに期間を要し、その間に価格も安く導入も容易になります。つまり急いでデジタルテクノロジーを取り込むことよりも、その技術をどの様に使って新しい価値を創造できるかを見極めることが重要です。

デジタルテクノロジーの進化に伴う企業の進化のあり方

左の図は横軸に情報技術の進化、縦軸に顧客への価値提供を示しています。

企業の「現状の姿」は左下の象限で、これからの未知の技術を使って新しい顧客価値を提供する未来の「目指す企業像」は右上の象限になります。

デジタルテクノロジーが進化してコモディティ化した技術は、もはや世の中では使うのが当たり前になるのでそこに差別化要因はありません。またデジタル化で効率化や適用性が進む半面、企業の個性が均質化されてしまうというデメリットがあります。分かりやすい例では馴染みの飲食店がデジタル化したと考えてみましょう。注文も配膳も決済も卓上のパネルやロボットで置き換わると、店員さんからお勧めを聞いたりといったコミュニケーションの機会が失われ、ただの自分が欲しい料理を提供する場になってしまいます。つまり今まで以上に人でなければできないことや企業としての存在価値が問われる様になるということです。

その様に新たな価値創出を考えないままコモディティ化したテクノロジーに置き換えるだけなら、その企業は、「人が余っていて魅力の無い企業」になってしまいます。ですから今いる人材を活かしながら先進技術を見極めて、新しい価値提供のあり方を考えることが現代の企業には求められているのです。

DXの経営戦略についてフリーランスコンサルタント時代に説明した動画がありますので、参考になれば幸いです。

 では業務改革の5つの要素の下の2つが表しているのは何でしょう。それは企業の性格であり企業文化に通じるものです。

リーダーシップ

⇒ 企業としての意思決定力、統率力

コミュニケーション

⇒ 社内の情報伝達や合意形成の仕方

これまで色々な企業を見てきましたが、強い企業は強い企業なりのリーダーシップやコミュニケーションの取り方があります。

スポーツの強いチームはなぜ強いのか。それは強い選手が集まってくるからというだけではありません。強いチームのリーダーシップやコミュニケーションには特徴があります。ここでリーダーシップやコミュニケーションのあり方を考えるにあたって、まず近年マネジメントスタイルは大きく変化していることを意識する必要があります。

マネジメントスタイルの変化

管理型マネジメントスタイル

上司が部下の仕事の仕方を指示・管理するスタイル。減点主義になりやすく、部下の自主性やチャレンジ精神にマイナスになりやすい。

支援型マネジメントスタイル

上司が部下の成長や活躍を支援し、働き方の向上を支援するスタイル。部下に指示するより質問して考えさせることで部下の自主性に働きかける。

管理型マネジメントは成長の原理が分かりやすかった時代には有効なスタイルだと考えられますが、市場環境が複雑な現代においては上司の言った通りにしか動かない組織では、環境の変化に追いつけず徐々に弱体化していきます。単に管理型マネジメントが悪いということではなく、リーダーシップやコミュニケーションのあり方においては、このマネジメントスタイルの変化の意味を知識として持っていることで企業風土のあり方は変わってきます。

管理型マネジメントについてフリーランスコンサルタント時代に説明した動画がありますので、参考になれば幸いです。

強い企業にはメンバーが自分で考え行動する雰囲気がありますが、その社風は一朝一夕でできるものではありません。メンバーの意識を高めていくチームビルディングにおいては、その過程の段階を意識するべきです。

タックマンモデル:チームビルディングに関する考え方のモデル

  • お互いに様子見
  • ためらいや緊張、遠慮
  • 参加やコミットメントに対する包摂の判断、迷い
  • 主義、主張、意見の衝突
  • チーム全体の成果より、誰がどんな考え方をするかに関心がある
  • チームとしての共通のルールやメンバーの役割分担ができてくる
  • 個々よりもチームを重視しお互いの強さを活かしてチームプレイができる
  • メンバーが自律的・主体的に動いて、チーム自ら規律を生み出しながら成果を上げている

チームビルディングの過程においては、時には積極的、時には後方支援的といった様々なコミュニケーション施策を実施することでメンバーなどの関係者に働きかけることも有効です。

コミュニケーション施策例

コミュニケーションを活性化し自律的な雰囲気を盛り上げていくためには、様々なコミュニケーション施策が考えられます。これらの施策に正解は無く自分の会社やその時のタイミングに合いそうな施策を発案して実行していくことが重要です。そのためには施策の立案段階含めて自由に発言できる心理的安全性の確保が必要です。

チームビルディングはタックマンモデルで示すように段階を踏まえて形成されていくものです。チームビルディングの過程は山登りに似ているところがあると思っています。上を目指してあれこれ施策をめぐらすことよりも、正しい方向性を示して地道に継続的にコミュニケーションを続けていくことで、後から振り返って初めて成果を実感できるものだと思います。

ここで挙げたトピックひとつひとつはそれぞれソリューションとして個別に紹介されていると思いますが、これらの知識やノウハウがこの5つの要素で有機的に繋がっている事が重要です。ChatGPTなど生成型AIの出現により知識は活用しやすくなっていますが、それらを繋ぎ合わせることによって得られる効果を最大化することが求められると考えます。